新府内録 社長の窓

第43回コラム「当事者意識と社長業」

早いもので、2020年10月も気付けば中旬を迎え、間もなく年末商戦もスタートしそうな今日この頃、次の瞬間にはお正月何をしようか的、時節を向かえる事でしょう。

それほどに、色々と強弱の付いた出来事のあった割には、一年の早さだけ思ってしまいます。
 

前回コラム内容通り、先月から業務内容をデスクワーク中心へ変更したのに歩調を合わせ、様々な経済サイトやデマンド視聴時間を大幅に増やし、より以上ビジネストレンドへの精度を高め、経営判断スパンを速く出来る様に心掛けています。

そんな中で、以前から先入観としてあったものが、各々調査してみるとそうで無かったどころか、ご本人の思いに触れ新しい気付きを発見することがあります。

ユニクロやGUを傘下に持つ、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏も、自分がその認識を新たなにしたお一人です。

今回コラムは、柳井会長兼社長の企業経営スタンスを通じ、前職から長年テーマにしている「当事者意識」について、深く掘り下げてみます。
 

過去のコラムや個人アカウントSNSで再三触れている、自身DNA発祥の地「山口県」。
特に父方の阿川家では血筋が完全に地元プロパーです、関心無い方は既読スルーして構いませんけど。

贔屓目では無く当方の周りを見ても、県民性からか思いが強い故に(中国地方全体かもしれません)一種の真っ直ぐなヤンキー性を感じます、そうでありながら骨太なマインド有りみたいな。
例えばあるべき姿とかポリシー持続の大切さ、至らない事柄への一家言発出等々、その実自分が一番言われたりします。

何ですが、中々の劣等生なもので。

そう言う意味から捉え、柳井会長兼社長にも同じ様な印象をこれまで持っていました。

ところが、ご本人に対する膨大なインタビュー含めた記事やデマンド視聴を拝見するにつけ、認識が甘かった事を思い知らされます。

一体何か。

ご自身が企業経営について主体的立場を終始貫く為に、「絶えず助言を仰ぐ」と言う事です、だから「常に当事者意識を保ち続ける」のだと。

間違い無く「中興の祖」である柳井会長兼社長は、一介の紳士服業務からファストファッションの可能性に賭けて、今日の当該シェア世界第二位の地位を築きます。

途中第三者へ社長業を譲りますが、再び自身が実権を持ち続けて行く意義を、現在まで追い続けているのかもしれません。

傘下としてのユニクロ=「ユニーククロージングウェアハウス」の略称は良く知られています。
折しもこの事業を興した1990年初頭は、いわゆるDCブランドブームがピークを迎えた頃と重なり、自身なりのファストファッションを模索していたのかもしれません。

以後バブル経済崩壊、潜在していた不良債権が明るみになり「本当の高度経済成長時代終焉を迎える1997年」には、DCブランド市場もシュリンクして、ポストベーシックたるファストファッションブームがスタート。

ご自身はここをターニングポイントとして、本格的攻勢に打って出たと言えるでしょう、その一例が「1998年、低価格フリース発売」。

初期ユニクロ製品はお世辞にも、現在と違いフリースにしても生地があからさまに合成繊維的、低品質な仕立てで、少なくとも自分が着る代物でありませんでした。
ただ当時の経済市況や携帯電話本格的普及などに伴う、中間層らの可処分所得減少に伴い、ついては新しいカジュアル性も相まって大ヒット商品となり、以後グローバル成長へのきっかけになったのは周知の通りです。
 

ここから何が見えて来るか。

少なくとも、ファストファッション市場を構成する企業群にあって、ファーストリテイリング=柳井会長兼社長のアイコンを確立している事につきます。
確かに出だしは低価格路線だったかもしれませんが、周知の通り、ラインナップのコストパフォーマンス最大化、ヒートテックらに代表される高機能化、更にはゲストデザイナーを招聘しながらの、いわゆるハイセンス化。
グローバル店舗展開や自社物流システムのオリジナル最適化等々、自身のブランドイズムを最大限発揮させるに、自分が牽引しなければとの認識が事の他強いのです。

これはアパレル分野ならでは、といっても過言で無いでしょう。

ファーストリテイリングはCEOこそ、柳井会長兼社長ですがその下にあたる取締役クラス人材は、事ある毎に外部人材をご本人がほぼ招聘しています、そこで集めた意見や進言を基にして、日々の経営判断を下しているのです。

だから思いました、「決してワンマンでは無いと」。

様々な局面を迎えながら、最終的乗り越えて来たゆえにご自身のコメントが、より真実味と説得力を増してオーディエンスへ「腹落ちする」、最近その大変深い意味が分かりました。
 

企画から小売りまで、その起承転結をグローバルで消化しなければならないからこそ、(余す事無く、意見進言を受ける)柳井会長兼社長への求心力が必要であるし、仮の展開として後継者選びを盤石にせんとした、意向あるのではと思います。

そうしながら、ユニクロブランドイズムを確立して(僭越ながら事実上の集団経営体制移行に向けた)、次世代へのグローバル展開に期待します。

余談ですがユニクロって言えば、以前自分はどうしても「電解亜鉛クロメートめっき=ユニクロめっき」を連想してしまいます、さすがに昨今はその意識も薄れては来ましたけど。
 

更に、自分は正直ファストファッションが食わず嫌いで、当時のDCブランド程では無いにしても(当時御用達はY's for Menでした)、現在スーツやカジュアルに至るまでアメリカン(イタリアン)ソフトトラッドファッションが好みです、ちなみに最近国内で再始動した「プルックス・ブラザーズ」が十八番です。

自身にとってユニクロと言えば、昔も今も何故か「トランクス」。

どうしてでしょうか、またどこからか怒られそうです(笑)。

※ 本コラムは、あくまで個人の見解に基づきます。

 アガワ・ハイテックソリューションズ株式会社
代表取締役社長 阿川 丈生