新府内録 社長の窓

第40回コラム「2020ビジネス最前線の攻防:コロナ禍ビヨンドを占う」

気が付くと2020年も5月になりました、元旦初詣した際には誰がこの現況を予想出来たでしょう。

自分は朝の仕事前に全国紙の電子版と、各々の経済サイト介したビジネスレポートを、平均で150本以上閲覧します。
これは前職から少なくとも15年程、欠かした事無い習慣で、優れたアウトプットを引き出さん為の必須アイテムと化している次第。

当然ながら先のリーマンショックの際は、当該文言が全数の半分を占めていましたし、今回の新型コロナウイルスに関しても、同数かそれ以上の割合を示しています。

最近は、何かとカドが立ちそうな武漢(中国)ウイルスに代わり、「コロナ禍(読み名:か)」との文言が目立つ様になっています。
造詣の深い皆さまならご承知の通り、「禍=災い」。
即ち人為的に引き起こされたであろう、世界的パンデミックとの意味が、そこに込められているのだそう。
 

なるほど、如何にも日本らしいソフィスケートされた上手い表現と、感心してしまいました。
海外であれば先ず持って「武漢ウイルス」って、記述しますけど。
合わせてコラム執筆日(5月16日)に先立つ、5月14日(木)に全国39県で緊急非常事態宣言発令が解除され、徐々にながら地方よりの経済活動正常化を願わずにはいられません。

今回40回目を迎えました、社長コラム「新府内録・社長の窓」では、自分が好む#コロナ禍ビヨンドを巡る、ビジネス最前線の攻防を一つ占ってみます。

尚、弊コラムはあくまでも個人的見解を記述すると同時に、出来るだけ分かりやすく表現させて頂く為、数値的な分析は最低限しか行いません、詳しくは当該専門家レポートなりコラムをご参照頂ければ幸いです。

ところで、5月1日にキヤノンから発起人として突如出された、「新型コロナウイルス感染症と戦う知的財産宣言」と言う少々長いプレスリリースタイトル。

いわゆる、企業として所有する知的財産を新型コロナウイルス感染拡散抑制目的に限り、無償提供すると言うものです。
特筆なのは、キヤノンと(関連)産学連携先である京都大学研究室の共同声明と同時に、異業種企業や同業種企業らも連名しているもので、ユニークであるのと同時に「何故?」らしく率直な疑問を呈したくなりました。

ご承知の通り背景は同日、御手洗会長が三度目社長兼務プレスリリースもあり、公職歴任企業としての社会貢献的意味合いもあるとは思いますけど、真意は別のところではと推察します。

それは前回コラムでテーマにさせて頂いた、「富士フイルム」の存在。

かの材料系コングロマグリット企業宇部興産も、山口県で中間材料製造を手掛け、富山県の関連企業で最終製品出荷している、新型コロナウイルス錠剤医薬品「アビガン(学術名:ファビピラビル)」が、米国発祥の抗コロナ薬レムデシビルに続き、国産として早ければ5月内にも初の医薬品認可と言う、極めて大きなターニングポイントを迎える時期と"露骨"に重なっています。

元々ファビピラヒル(医薬品承認前なので、便宜上学術名で記述)は抗インフルエンザウイルス剤として、富山大学医学部と富士フイルム富山化学が正に"産学連携"で創薬したもので、奇しくも新型コロナウイルスの急速な蔓延に際し、速やかに臨床対応を進めた結果です、レムデシビルも同様の経緯(以下割愛)。

医療現場最前線で懸命に抑止に務めている皆さまと、これ以上の感染者及び死者を食い止め、一刻も早い通常医療活動への回帰を目指し、早期の手続きにより認可するものと思われます。

思うに、自分もかつて在籍していた金属表面加工起因の"材料技術"は、先ず専従者による「優れた目利き」が求められます。

お客さまが求める技術に対して、何がベターなのか最適なソリューションを示さなければなりません、物理的な加工と違い「目に見えない技術」なのでその分、確実な推察と見通しが絶対に欠かせません、これは"洞察力を養う上で"企業経営や人材育成にも間違い無く言える事なのです、だからと言う訳ではですが、本当に「ナノテクノロジー分野は非常に尊い」と最近特に思います、若年期に携わる事が出来て幸運だったと、回顧する瞬間。

様々な側面があるにせよ、優れた材料技術無くして優れた要素技術無し→優れた製品無しと言えるでしょう。

加えて、キャノンと富士フイルムの両社比較をすると興味深い事実が、更に浮かび上がります。

上場企業の三要素と言われる、売上高・株価・時価総額。
ここで、キヤノンが富士フイルム上回っているのは売上高だけで(1兆円ほど)、これ以外は全て富士フイルムが上回っています。
売上高こそ現在の成績表と言うものですが、将来性を占うのは株価であり時価総額で、株式市場は正確です。
ここから言える事、富士フイルムは現在同じく子会社の富士ゼロックス=富士ビジネスイノベーション以外(ITハードウェア&ビジネスインテグレート)、基本的に生業派生「ナノテクノロジー企業」として人々の生命活動に寄り添う企業理念が、曲がりなりに確立出来ている印象です。

一方のキヤノンはどうか、率直に富士フイルム程の企業ビジョンが薄く、現在も守勢に回り続けている印象を受けますが、如何でしょう。
 

まだあります、キヤノンと富士フイルムのCEOはいずれも九州のご出身、僭越ながら比較的帰属意識の高い地域と言うのも、中々洞察力を鍛えられそうな機会です。
特にキヤノンの御手洗会長兼社長は、ご承知の通り大分県佐伯市が出身地。

この大分県佐伯市は、有数の起業家輩出地(大和冷機・川澄化学・造船企業各社)であり、更に製造業進出企業ゼロと言う、"稀に見る自律性誉れ高き一大クラスター"なのです。
一時期はそのキヤノンが、佐伯市に立地表明の打診を申し入れたにも拘わらず、何故か住民の機運が盛り上がらず、急転直下断念したと言うエピソードもあるほど。

詳しくは関連経済サイトをご覧頂きたいのですけど、企業グループ理念を早晩再定義しない限り、連結決算で富士フイルムホールディングスに、追い抜かれるのは(1兆円のアドバンテージあれど)時間の問題と思います。

短期的に良くても中長期的に成長出来るか否か、トップの洞察力が鍵を握ります。

今回急速に拡散したコロナ禍は、短期的に相当な経済活動の急減速をもたらしました、緊急非常事態宣言発出により不要不急の外出制限が成されたなど、全くもって聞いた事ありません。

製造業を中心としたリセッションのピークは、6月ではないかと言われています、リーマンショックを乗り越えようやく拡大基調に来た企業活動も、いよいよ正念場かもしれません。

コロナ禍ビヨンドを占う上で一つ分かった事は、直接行動とオンラインの境目がより精査されると言う事。
地方経済にとっては、オンラインミーティングによりビジネスチャンスの端緒が増加して行くと、思われます。

いずれにしても、人的大量移動の時代は今回を契機に残念ながら抑制されると予想します、インバウンド需要しかり。

リセッションは新たなビジネス創出の、またとない機会です。
弊社(自分)も含めながら洞察力を磨きつづけ、メーカーとしてプラットホームビジネスの更なる可能性を、探り続けます。

本コラムはあくまでも、執筆者個人の見解に基づきます。

 アガワ・ハイテックソリューションズ株式会社
代表取締役社長 阿川 丈生