新府内録 社長の窓

第35回コラム「緊急特集:レバノン発ジョーカーの行方」

皆さま新年明けましておめでとうございます。

来る2020年もアガワ・ハイテックソリューションズ共々、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて令和元年も大晦日に差し掛かったころ、世界を震撼させる大きなビジネスニュースが飛び込んで来ました。
ご承知の通り、ルノー・日産・三菱アライアンスの元会長、カルロス・ゴーン被告による初公判を目前に控えた、突然の国外脱出劇です。

第一報を得た時は流石に驚きましたけど、次の瞬間には妙に納得している自分になっています、何とも不思議な感覚。

やはり東京拘置所での厳しい留置された日々が、屈辱感に似てとても辛かったのだろうと察してしまいます、別に肩を持つ訳ではありませんが。

それにしても、特にルノーに取ってはタイミングもさることながら、翔んだジョーカーを引かされたなと思います。
その一方で1999年当時、瀕死の状態だった日産自動車を是が非でも救えるのは、他でも無い彼のリーダーシップに頼らざるを得なかった事実。

前職から現職へ企業経営に携わる者として、改めて考えさせられる出来事です。

純粋ないわゆるファミリービジネスならまだしも、彼の様なキャリアアップ主眼のサラリーマン(あえて記述)は、目先の報酬が全てなのだと、たとえそれがブラックに近いゾーン的モノは、図らずも後任社長の事実上同一事由による、辞任劇で証明されてしまいました。
 

なんでしょうか、会社全体の財産的フィロソフィーよりも先ずは、自分自身なのだなと。
僭越ながら、日産自動車の会社なり人となりを考えさせられるにはいられません、それらも大切ではありますが、自分に取っては違うだろうと思います。

再三記述しているかもしれませんが、企業経営なるものは先ず「創業者が描く、そのぶれない起業精神」に沿うべきです。
出来れば代々トップは、プロパーの生え抜きもしくは半歩譲っても第二新卒でなければと考えています。
僭越ながら、そう言う意味に於いて先頃集団指導体制を敷くはずだった、COOが他社の強い要請があったとしても、発足から僅か一ヶ月も経たずに辞任するとは、とても考えられないしそこまでの愛社精神しかない点で、率直に残念だと思います。

更に言えば、1999年経営危機以来の重大な局面にあると言っても過言ではありません。
当事者にとっては、僅かながら利益が出ているので然程では無いかもしれませんが、これは想像以上であると言わざるを得ないでしょう。
今年の定時株主総会はまたも、波乱含みになると予想しているところです。

ヒトは極限状態や不利な状況に追い込まれると、その本性が出易いものです。
複数の国籍からその数奇な運命を辿った、彼の生きざまからすれば驚きつつも、逮捕容疑からこれまでの経緯を見ても、妙に納得せざるを得ない自分がそこにいます。

自身が歩んで来たこれまでのキャリアを、親会社であるルノーの命により有事の相手先企業へ、言わば派遣された彼がその国の法律違反で、会社からクーデターの一端により追い出され、しまいには逮捕抑留される。

人生に於いてこれほどの屈辱感は、無いと思います。

逮捕後負の感情を露にして行動してきた彼が、今一度冷静かつ倫理的なスタンスに戻り、その罪を償い再び歩き出す姿を。
またその日産自動車自身が、ピンチをチャンスに代えてアライアンスパートナーと共に、再びトヨタ自動車の強力な双璧と足り得る様に。

もの言う、趣味としてこよなく自動車を愛するいちビジネスマンかつエンスージアストから、せめてものお願いです。

 

※ 本コラムは執筆者本人の、見解と推測に基づいています

 アガワ・ハイテックソリューションズ株式会社
代表取締役社長 阿川 丈生