新府内録 社長の窓

第33回コラム「10%へ消費税増税に伴う、モノづくり分野の影響と展望」

前回コラム更新から早2ヶ月余り、今年も既に10月へ入りまして、年末年始への足音が近づきつつあります。

弊社ウェブサイトの名物コンテンツ「新府内録・社長の窓」につきまして、今回も閲覧頂きありがとうございます。

ところで何故に「新府内録」かと言いますと、前職在籍時(現在も存続しています、家業のめっき&金属表面処理加工業の二代目社長でした)にも、当時のウェブサイトで社長コラムを展開しており、タイトルが本拠地江戸時代地名にちなみ、「府内録・社長の窓」でした。

あれから刻が流れて、2015年に独立資本による現在の会社を自ら起業。
そこよりの連続性を持たせながら、より大所高所に立脚した社長コラムを目指すべく、「新府内録」となっています。
早い話がVersion2.0と言うべき、ものかもしれません。

さて、この10月より消費税が再度増税施行され、いよいよ二桁の10%となりました、今回の社長コラムはこれらのトピックを政治経済的観点から、述べてみたいと思います。

丁度30年程前(平成元年です)の、3%施行から足掛けでなりましたけど、当初より社会保証関連予算の確保を主眼として、景気に左右されにくい間接徴収方式の形を取ったは良いが、皮肉にもそれらの要因も孕みながら、言わゆる平成不況の低成長時代をそっくりたどってしまったのは、皆さま大変ご承知の通りです。

モノづくり分野に於いても、導入当初は低税率を口実にして言わゆる製品単価「便乗値上げ」の、横行した時期がありましたが、税率が徐々に上がって行くに連れ、資金繰り操作へ多大な影響を及ぼしたのは、言うまでもありません。

顧客各位へ消費税を加算した製品請求金額を、一重に加算しなければならない苦痛は、到底計り知れません。

日本国内は明治維新以後、欧米列強らと対等に互して行く為「殖産興業」のスローガンを掲げ、産業のレガシィを先人たちの叡智と努力により、これまで築き上げて来ました。
その当時より、国内内需喚起もさることながら韓国ほどでは無いにせよ「外貨依存型経済活動」を、モノづくり分野はずっと提唱しているし、実際その通りとなっています。

消費税に代表される間接税の導入は、平成元年当時〜まだ国内経済が(緩やかな)上昇志向だった情勢を踏まえ、来るべき人口動体の飽和状態(物理的に限られた、当時の社会インフラとバランスシングすべく、抑制を図る目的)に備える意味合いから、相当数の両院審議期間を経て議案可決されましたが、その後、当時自民党単独政権は世論の負担に拘わる混乱にかまけて、たちまち退陣を迫られ、現政権に辿り着くまで様々な規制緩和を繰り返しながら、長らく経済活動の低迷が続きました。

世界でも類を見ない少子高齢化社会の横行、平成時代の30年間で顕著になった中間所得層の上下分裂、これは雇用形態非正規化への緩和が大きく影響していると、思われます。
加えて、長らく要請が絶えない受注金額の切り下げに対応すべく企業努力を重ねますが、消費税の上昇が着価出来なくなり、ついには受注そのものを逸してしまう悪循環。

政治が良かれと思い実行した事が、必ずしも経済全体の浮揚に繋がって行くとは限らない。
昨今も「政高経低」の流れは変わる事がありません。

今回消費税の10%増税は、憲政史上最長の在任期間を目指す現在の政権が、その安定性を梃子に将来へ亘る財政再建と経済浮揚を両立すべく、5%から8%へ。
そして8%から10%へと、二段階に分けて成し遂げた非常に稀有な事例として、長く記憶に残ると思います。

特に、モノづくり分野を含めた中小企業への影響については、僅かながらこれまで国内外の経済成長により、図らずも業績改善が認められているとの報告から、絶妙な導入タイミングも相まって、幸いにも必要最小限に留まるものとの試算が報告されているようです。

この事から国内政治経済の安定した内政施策が、税収維持へ如何に重要な鍵を握るという意味合いを、お分かり頂けると思います。

各種全国紙やエコノミクスサイトでは消費者の観点から、軽減税率の導入やキャッシュレス決済利用時のポイント還元について様々に論じていますけれど。
それだけ国内経済に於ける10%への増税は、これまで以上のリスクがあったと言えるのでは、ないでしょうか。

キャッシュレス決済の還元ポイント実施は、時期を見ながら幾度かしつつも、いずれ軽減税率は廃止されて10%に統合されるであろうと、少なくとも当方は見ています。

振り返るとこの30年余りは、国際地政学的な事象を適時織り込みながら、財政面から如何に安定させた再建基調へ持って行くべきかを、少子高齢化に代表した人口動体の変化や、企業活動のハイコンプライアンス化も踏まえ、試行錯誤した時期だったのかと、結論付けずにはいられません。

我々としては、それら目先のネガティブにとらわれる事なく、如何にポジティブシンキングな経済活動ビジョンへ立脚する事叶うのか。

これまで以上に税収を生み出さなければならない、「産業人としての真価」が問われる時代に来たと、露実に感じています。

 アガワ・ハイテックソリューションズ株式会社
代表取締役社長 阿川 丈生