新府内録 社長の窓

第3回 テクニックより、もっと大切なもの

予てから述べているように、前職退任から早くも3年余りの歳月が過ぎております。

この間、特に自問自答したテーマが「社長業」の定義についてでした。

社長業たるもの経営者とイコールである以上、全てに長けた「オールラウンダー」でなければと思っています、とは言っても両親から体一つを譲り受けた「感情を持ち合わせる独りの人間」らしく必ずしも完璧ではありません。

これは一種の逃げ口上で無く、人間だからこそ一人一人に個性=アイコンがあり杓子定規に捉われず、その人ならではの人格に基づく思慮に富んだ判断基準が構築されて行きますが、必ずしもそれが一致するとは限らないからこそ、失敗して悪い影響を出さない為に、ここでは会社経営のセオリーに従わなければならない事由へ帰結する訳です。

前職では、これにあたる論理的思考と感情的思慮のバランスがうまく保てなかったと鋭意思っています、現在も思い出しては反省と懺悔の日々を送っている事に変わりありません。

故に、広義的業務を手始めに自分が歩む過程で起こった様々な事象を振り返り、更に社会一般に起こった数多くの出来事と、地域に於ける変遷を鑑み「現在、顧客が何を求めているのか」を、持てるアンテナやセンサーを介し真剣に考察して、自らのビジネスへ生かす事を、最大の関心にしています。

戦後70年を経て、人口構成や経済情勢も正に低成長率時代を迎る国内ビジネスです、それらを支える顧客動向も日々厳しくなっているからこそ、インサイドの経営テクニックを超え、会社の主である社長自らが根拠を携えてアウトサイドへ向かう「思いの丈」を最大限発信する事が求められます、無論自分にも。

以前と比べ、顧客は自ら保有する貴重な資金を提供する、企業群の様々な側面を想像以上にリサーチしています、だからこそそれらを上回るリソースを提供して行かなければ当該企業の未来はありません。

企業の代表者たる社長の経歴、それらから培う現在持ち合わせる職業能力やその考え方、更には今後持ち合わせるべき多岐に亘るビジョ二ング。モノづくりに携わるからにはこれらが出来て、ようやく企業経営たるものが成り立って行くべきであると言う考えは、前職から一貫して変わらないし断固変えません。

もし、いわゆるサラリーマンや公務員の家庭に生を受けていれば、「企業経営等と言うリスクしか持ち合わせないお仕事は絶対にしないだろう」と思います。
しかし現在の境遇に生まれた以上、その運命へ時に立ち向かい、またある時にはそれらを受け入れる事によって持ち合わせる資源を最大に生かし継続最優先のスケジューリングを立てる、これまでの自分は知恵と身を呈しながら実践して来たからこそ生かされているし、今後それらをより一層パワーアップしたカタチで燃やして行く覚悟です。

最後に本籍地である山口県が生んだ偉人である、かの吉田松陰先生が松下村塾の塾生諸君へ手向けた格言を送ります。
「志定まれば、意気盛んなり」

── 今回コラムの骨子 ──

  • 社長業、すなわち経営者に求められるスキルは「全てに長けたオールラウンダー」である。
  • 日々厳しくなる審美眼を持つ顧客の期待に応える為に、「想像を超えたリソース」を提供する事が企業存続の使命。
  • 吉田松陰の格言「志定まれば、意気盛んなり」。インサイドの企業経営テクニックを上回るアウトサイドのビジネス発信力を。
 アガワ・ハイテックソリューションズ株式会社
代表取締役社長 阿川 丈生